LTspiceのHierarchyを用いて三相交流電源をモジュール化した

複数部品の移動

以前の記事では、三相交流電源を構成する3つの電圧源を個別に配置して回路図を作成していた。

しかし、このままでは回路図を移動させる際に毎回3つの電源をまとめて選択する必要があり、操作性に課題があった。

解決策の方針

LTspiceのComponentダイアログで選択できる「Voltage」部品のように、三相交流電源を1つの部品として扱えるようになれば、この問題は解消できると考えた。

試したこと

部品をまとめる手法の調査

まず、LTspice で複数の回路要素を1つの部品として扱う方法を調べた。調査の結果、GUI で扱える Hierarchy と、テキストベースの include/subckt の2種類があることが分かった。

今回はすでに三相交流電源の回路図が存在しており、頻繁に更新する予定もないため、Hierarchy を用いて部品化することにした。

評価編集方法バージョン管理
hierarchyGUI位置情報などGUIの差分も含まれる
include/subcktテキスト位置情報がなく、設定のみ

Hierarchyで部品作成

出力ポート作成

三相交流電源を1つの部品として扱うため、まず出力ポートを作成する。

ショートカットキー N を押して Label Net ダイアログを開き、Port TypeOutput に設定する。識別用の任意名称を入力し、このラベルを電源の正極端子に接続した。

同様の操作を V2、V3 に対しても行い、負極側は共通ノードに接続する。

ファイル名に日本語を含めるとエラーの原因になることがある。そのため、日本語名になっている場合は英語名に変更しておくとよい。今回は、ファイル名をthree_phase_power_supply.ascに変更した。

シンボル作成

次に、Hierarchy のシンボルを生成する。

メニューから Hierarchy → Open or Generate this Sheet’s Symbol を選択すると、シンボル生成の確認ダイアログが表示される。初めて生成する場合は自動生成の可否を尋ねられるため、「はい」を選択して進める。

生成されたシンボルを確認すると、先ほど設定した出力ポートが正しく反映されていることが分かる。

動作確認

作成した部品が正しく動作するか確認するため、新しい回路図を作成する。  

ショートカットキー Ctrl + N で新規回路図を開き、P を押して Component ダイアログを起動し、先ほど作成した部品を配置する。

抵抗器と配線を使って平衡負荷を作成し、適当な抵抗値を設定する。  使用したショートカットキーは以下の通り。

抵抗器:R、配線:W、選択している部品の回転:Ctrl + R、抵抗値の入力:Rの上で右クリック

続いて、ショートカットキー .(ピリオド) を押してダイアログを開き、

.tran 0.1

と入力して100msのトランジェント解析を実行する。シミュレーション結果から、設定した通り 50Hz の三相交流電源が正しく動作していることを確認できた。

設定した通り50Hzの三相交流電源が出来ました。

Component ダイアログに作成した三相交流電源が表示されない場合は、シンボル検索パスが正しく設定されていない可能性がある。その場合は、以下の手順でパスを追加して再設定するとよい。

Tools > Settings

Settingsダイアログ > Search Paths

さいごに

今回は、Hierarchy 機能を用いて三相交流電源をモジュール化した。これにより、複数の電源を同時に移動させる必要があった従来の操作性の悪さを解消でき、部品として再利用しやすくなった。一方で、現在の構成では電圧や周波数が固定されており、パラメータを変更して挙動を確認したい場合に不便である。今後は、これらのパラメータを任意に変更できるように拡張したいと考えている。

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